ちょうどいいコーヒーの見つけ方

第1回 「ちょうどいい」を求めて

 

 気がつけば、まちのコーヒー屋が増えていました。本屋さんに行くと、必死に探さなくても、「コーヒー」の文字が目に入ってきます。「コーヒー屋をやっています」なんて言うと、ほとんどの人が「最近、コーヒーのお店増えましたよね~」と返してくれるので、これは僕だけの感覚ではなさそうです。

 コーヒーに興味を持ち始める人が増えたり、「コーヒーが好きです」という人が増えていることは、個人的にもとても嬉しいことです。ただし、ひとつ気がかりなことがあります。「最近、コーヒーのお店増えましたよね~」という言葉に、「(おしゃれ過ぎて、よく分からないけど)」という響きを感じることが多い気がするのです。いつの間にか、きらびやかな世界となった「コーヒー」に、少し気おくれしてしまう感覚。おしゃれ過ぎる感じに、なじめない感覚。

 コーヒーの風味は、「青リンゴのような~」と、なじみのない食材に喩えられることが増え、メニューなどにも、なじみのない横文字が並びます。選択肢が増える一方で、「あれ、コーヒーってこんな感じだっけな」と戸惑うことも増えました。

 コーヒーに限らず、現代は情報が溢れています。どんな情報を自分に着せるか、そんな「センス」を見せ合っているような時代にも見えます。もちろん、それは悪いことではありません。でも、もしそれに疲れているのなら、もっと別の方法を考えてもいいのかなとも思います。

 もっと肩の力を抜いて、しっかり呼吸をして、自分の感覚に寄り添うような。自らの内部の世界と、外の世界の両方をしっかりと持ち、きちんと調和させるような。

 「おいしい」は、人それぞれです。より良い情報をさがし求めるのではなく、自分にとって「ちょうどいい」と感じられるコーヒーを求めていく方が、きっと愉しく、心地良いです。

 生産地がどうとか、これが流行りだとか、これをチョイスするのが「ツウ」だとか。そういう情報を一度置いてみて、これを読んでいる人が自分で「コツ」を見つけたり、自分で「ちょうどいい」を見つけたりできるようなコーヒー案内を、少しずつ書いていけたらと思います。

 肩の力を抜いて読んでくださいね。