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贈るコーヒープロジェクト

 

余る豆

うちで使っているのは小さな焙煎機。

気温や湿度、空気の流れ、豆の状態などによって、日々焙煎は変化します。

そんな移ろいの中で、何かひとつ安定した軸を持っていれば、その変化すら愉しむことができるものなので、釜に入れる豆の量を一定にしています。

すると、ご注文の量が、ちょうどその倍数になることの方が少ないので、毎日必ず豆が余ります。

店舗があれば、翌日も販売したり、喫茶用にしたりできるのですが、僕たちはそのような道を持たないので、余った豆の宛先を考える必要がありました。

 

おすそ分けを、外へ

まずはもちろん、自分たちが飲むためのコーヒーとして。

コーヒー豆屋をやっていて素敵なことのひとつは、毎日美味しいコーヒーを飲めることです。

また、家に来ていただいた方への試飲や、色々な「おまけ」として差し上げることもあります。

おすそ分け、です。

ただ、ここまでだと、自分と、その周りの環から外へは行きません。

身の回りの小さな範囲を大切にする一方で、そこで回路を閉じてしまうのではなく、常に別の環へと繋がっていく必要があります(閉じる回路の危険性は、毎日様々なニュースで流れていますね)。

そこで、2017年から始めたのが、「贈るコーヒープロジェクト」です。

おすそ分けを、次の人へと贈るもの。

 

贈るコーヒープロジェクト

通信販売などで、コーヒー豆を買ってくださった方へ、時折1杯分のコーヒー豆を同梱することがあります(豆が余った日、ランダムに)。

その豆袋には、こんなことを書いた紙を付けて。

『このコーヒー豆を、ぜひ誰かに贈ってあげてください。受け取った人は、また別の誰かに、何か良いことをしてあげてください。コーヒー1杯分の温かみが、社会を循環しますように。』

難しかったのは、その内容。

普段、商品と代金の交換(労働と給与もそうですね)に慣れているので、手をかけ過ぎたり、量が多過ぎたりすると、多大な「申し訳なさ」も一緒に感じさせることになります。

また、袋に「余白珈琲」なんて文字が入っていると、本来の願いを離れて「宣伝かよ」という印象だけを与えてしまいます。そのあたりは、本当に色々と考えました。

次へ、次へと形を変えて渡っていくことを願ったものなので、どういう効果があるのか、自分たちが実感できるものは何も残りません。

どこかで、全然知らない誰かに、温かみが届いているといいななんて想いながら、「交換」だけが当たり前になりつつある状態が、ほんの少しでも揺らぐといいなと思っています。